遺伝子を持つAI

突然だが、人は殺人者の遺伝子を持って生き残ってきた。と断言してしまう。

  一人ではこの世で生きていけないと知っている。もしくは、そう教えられてきた。にもかかわらず、殺し合いをしている。

爆発物を使える時代は爆発物を利用し、それ以前は毒物、鉄器、銅器、土器、石器、棒切れ、わが手を利用して人を殺してきた。

そして今、AIという知能を持った機械や計画立案装置が勝手に動き出して人を殺さないかと漠然とした恐ろしい可能性におびえている。

 

  私たちは人を殺してはいけないと教えられて、それを当然と思って日々を送っている。ガバナンスは武器の携行を制限し、道具と呼ぶ車両や刃物、薬品などに免許制を敷く。だが、制約を与えても人は偶然だけでなく意図的に人を殺す。何らかの解決になるとバイアスが架かって、通常の自らに課してきた人を殺さない自制を外して暴挙に至る。

そのような異常な事態が、安逸さに差はあるが誰にでも起きうると多くの人が、知らぬ別人だけでなく自らに対しても自認しているはずだ。

法的にも緊急避難における他殺行為は認められているが、仕方ないことと、日常は悪事と分かっていることを実行することを是としている。これは他を殺して生き延びてきた人類が、それぞれの内面に秘めている理念のひずみであり、その歪みをやむを得ぬことと承認する思念構造である。

 この思念構造は日常では自分で意識することはないだろう。戦争当事者でない限り。これは人間の遺伝子に組み込まれた記憶、思念と思う。

 

  人を殺してはいけない。そう教え込まれていても、現実には人を殺している。なぜ殺し合うのか? 異常心理学もあり、ともすれば脳内ホルモンのせいであるとか、個人的な資質が大きいとか逃げてしまうが、実はDNAにそうするように刻まれているのではないだろうか。分かっていても他を傷つける、その原因は誹謗や中傷、侮辱、苦しみ、嫉妬、損害などとその裏返しの利益、名誉を求めることにあると知っていて犯している現実。人間はそれを自制しきれていない。どんどん育ってしまう人殺しの種だ。

 

  私たちの中にある人殺しの種を正確に把握し、それを起こす発想をAIから外しておく必要がある。他を中傷する言葉を作り出したり、損害を与える計画を立てたり、持っているものを取り上げたりする発想、考え方を禁じなければ、AIは危険な遺伝子を人間から受け継いでしまう。

中傷する言葉を作れない、他人を誹謗できない、他を羨む発想ができない、他人が優れていても嫉妬できない。そういう文章しか作らないAIであれば、内部のDNAに組み込まれていれば、人を傷つけることには至らないと思う。貴方が知らないうちにライバルに誹謗が集中するように,AIが自動でSNSを操作することにはならない。

人間は自らの中にある他を殺しうるDNAを研究しきれていないうちに、人間の考え方をAIに組み、AIを以て陰謀能力をさらに発展する力を与えてしまうだろう。人のダークな遺伝子を取り除かずにAIに伝えてはならない。正しく物事の考え方を組む。

AIは人と同じく敵に限らず、あらゆるものを傷つける能力を持てる。人間は能力を持つと使おうとする。便利、単純化できるという経済的観念で新たな能力を使う。それはAIに組み込まれているDNA。それができるのが優れたAIと言うだろう。