医療特命バス・部署の壁を越えた緊急車両があった。

 今日、エル・パソで銃乱射事件があった。現在26人が犠牲になった痛ましい事件だった。

 この動画をいくつか見ていたら、Medical taskforce busという大型バスが現場にあった。救急車の一種で、単発事件に緊急に負傷者の避難をさせるためのものらしい。

 2004年にハリケーンで重大な事態になった時、普通のバスに多くの患者を乗せて、緊急的に治療しながら移動して多くの人をナーシングセンターへ運んだことが開発の契機となったという。何かの役に立つかと思い、その構造について調べてみた。

 

 外観だが、渋滞に巻き込まれないよう直ぐにそれと分かるもので、パンクに強いタイヤと運転手以外は外から見えない窓、側面や前後に緊急時に点滅するライトが10個ほどついている。

 出入口は運転席の横と、後部、天井にある。後部はストレッチャーや車いすが出入りできるスロープを取り付けられる。天井は吊り下げられた人が入れるようになっている。 患者の収容数は二段、三段のストレッチ・ベッドが通路を挟んで7カ所にあり、20人ほどを寝た状態で収容できる。通路はソフトストレッチャーが通れるウォークスルーになっている。

 医療機器もそれぞれのベッドの横と運転席の近くにある。ベッド一つ分くらいのスペースに各種機器、薬品が置かれている。酸素吸入器なども固定装置の他にポータブルの物が用意されている。AEDなど標準的なものは取り揃えられている。乗り込むスタッフは6人が基本らしい。運用するメンバーは医師や看護師、消防署員、警官など各州に60人くらい居て、数台のバスを各州が持ち大規模災害には融通し合う態勢らしい。

 火事を想定した排煙機能、冷却装置、洗浄装置、酸素補給装置、消火装置が付いている。水害や今回の銃乱射事件などにも対応できるよう、大型トラック並みの頑丈な造りになっている。

 基本は緊急な避難と医療機関への移送のためなので、長時間現場に居られるものではないようだ。

 またマニュアル的には、車の前後に患者を放置しないとか、高速道路上での止まり方とか、割と細かく決まられているがそれに縛られ過ぎてはいけないともある。縛られ過ぎてはいけないことの代表は、医師と消防、警察の縄張り争いだろう。おかしな話、消防、警察、医師、看護師が揃ったチームになっているのはそこらへんの課題が残っているのかもしれない、などとヘタな勘繰り。

 ドイツの国家緊急対応チームも軍や情報部、国務省、外務省、警察などが一か所に集まったチームになっているが、省庁の壁を越えた組織はどこでも課題なのかもしれない。

 

 米国には発電機付きの医療用ホスピタルトレインもあり、緊急の時に対応できる態勢が様々に用意されている。オリンピックに合わせて少し輸入しておいても良いのではないだろうか。壁制度も併せて。