姓名の文字に見る生き物

先日、徒然なるままにメールの差出人の名前を眺めていた。

そこに田貫さんというあまりいないと思う人の名がある。また、ある女性が猫好きで、名前を決めかねているそうな。猫にポチと名付ける飼い主もいるようだがあまり賛同はしかねる。後で、名付け親に立候補しようか。

人の名に生き物を現す文字がある。姓には犬養、猫田、鳥井、熊田、馬飼、魚江、鳳などたくさん例示できる。きっと御先祖様がそういった仕事や地域に関係していたのだろう。

一方、名は親御さんの期待や願いを込めて付けるからあまり見ない。虎・龍や鶴・蝶、あるいは亀くらいかな。

天平の昔、聖武天皇が五畜(牛、馬、犬、鶏、猿)を食うことを禁じたが、それ以後、幼名以外にはこれらの文字を使わなかったように想像する。牛若丸とか、犬、捨丸などと同じように忌まれる文字を幼名につけるしきたりもあったようだが、そういったモノにこれらの文字が並べられたのだろう。

五畜以外は宮廷料理にシシ(鹿、猪など)や雉が相変わらず継続している。一時期は平民が魚を食うことを禁じたが、明治になるまでは寄生虫マラリアがこの国には蔓延していたのでその類の病に対する処置だったとも言われる。あ、閑話休題

名刺を頂くとき、その方の名に窺える親御さんの思いに接する気がする。どういった方なのかをその方の奥に見受けるようでもある。

こういった思いを文字に込められるのは漢字、表意文字に限られよう。もう何十年も前、ある外国人に日本人の名前には一文字一文字に意味があって、親が気持ちを込めていると話したことがあって、その説明をしたら大変な時間を食ってしまったのを思い出す。

また、ある時、鶴の文字を含む女性名に3人続けて出合ったことがある。名に恥じぬ美しい方々ばかりだった。最高齢は91歳のお婆さんだったが、美しく身を整え、生粋の江戸言葉を使っていらっしゃった。その翌日に会った方は十代でどこか儚げな見目だけれどかなり訛の強い言葉を元気な声で投げつける人だった。次に会った方は30歳くらいでちょっとそばかすが可愛さを残す奥様だった。どなたも美しかった。

何だか、女性の話を書いたら、もう満腹になってしまった。