性的少数者の人口。調査基準を決めてほしい。

 国の調査でLGBTAは3.3%、異性愛者は83.2%という数値が発表された。アンケート方式で28.6%の回答率、大阪市の18~59歳の15000人が対象。LGBTAのAはasexualde dで、性行為に惹かれない人々。ただし、純潔主義、禁欲、性嫌悪などの拒否者ではない。

 かつてLGBTQは電通が調べた調査で7.6%(2015)、8.9%(2018)と発表している。郵送で有効回答率は28.6%、14ページの資料に回答するもの。調査会社に登録された60000人が対象。どちらかといえば興味を感じている人の回答が多くを占めていると思われる。Qは自分の興味を持つ対象に無傾向とか理解できない人。

(回収率が同じ数値なのがおかしい気もするが、ハフポストは同じとする)

 調べている対象も違い、求める指標も違ってはいるが、あまり大きな違いがあるべきものではない。また、一度でも体験した人を基準に合うと判断する場合、これからもその傾向を持ち続けている人を基準に合うとするのとでは結果は変わるし、同一個人もその傾向を変えるものだから、同じ調査を同じ人を対象に行っても結果は変わるだろう。

調査によって食い違いがあるのは止むを得ない。Kinsey方式という手法を用いる国がいくつかあるが、共通の手法を用いてほしいものだ。

 

海外の数値を見ると、調査によって食い違いのあるのは日本と同じ。

 国によって宗教の影響が強い国は数値が低く、カムアウトに寛容な場合は高い。政治体制でも異なるのだろうが、こちらにその知識がないので分からない。調査方法も調査項目も色々なので国ごとの比較はしにくい。以下、調査方法などを無視して発表値を勝手に上げる。

 

 米国ではハワイ州では同性愛者5%以上、中部では3%程度、東部、西部は4%前後。

 オーストラリアは同性との性行為に関心があるとする人は、20代では男性が9%、女性が15%だが、それを体験したり今後もそれに愛着するのは5.7%、5.0%という。してみたい人を含めると9%、6%となる。

50歳以上になるとそれらの凡そ5分の1。全部平均すると3.5%(2014)

 

 ブラジルでは同性との性交渉に魅力を感じるという人は1998年に男15%、女13%で、体験があるのは男女合わせて9%だった。2013年には異性愛者が83%、同性愛者が7%、両性愛者が5%、他1%。残りはQである。

 カナダは公的調査では同性愛者が1.7%、両性愛者が1.3%。企業による調査では合わせて11%とか8%という結果もある。

 フランスはある調査では25歳までの女性の9%が両性愛者、1%が同性愛者。別の調査では男性の11%、女性の2%が同性愛者、男性の6%、女性の4%が両性愛者という。

 ドイツは、異性愛のみの人が63%、基本は異性愛だが機会があれば同性愛も良いという人が10%、基本は異性愛で同性愛も続けたいという人が5%、いつも同性愛という人は3%、基本は同性愛だが機会があれば異性愛もという人は1%、両性愛者が4%。

 イスラエルでは男の11.3%、女の15.2%が同性愛行動に興味があると言い、10%程度が一生に一度はその体験をした。同性愛又は両性愛者男が8.2&、女4.8%という。

 日本は電通のものが(pdf)

http://search.dentsu.co.jp/ja_all/search.x?q=lgbt_report2018&ie=UTF-8&page=1

公的な人口問題研究資料が(速報値なので消えることがある、pdf)

http://www.ipss.go.jp/projects/j/SOGI/結果速報20190425公表用.pdf

 

上記のように結果はバラバラである。

 kinsey指数というものがあり、ドイツの例のように、性愛対象の嗜好には程度があって一言で程度を表すことには無理がある故に、嗜好の強さをポイントとし、0、1は異性愛しか認めない、3~20はあり得る、20~30は自分も加わる可能性がある、などと分類して行く手法もある。

 程度を凡例付きのポイントで表して基準スケールを作り、その数値でどこからどこまでをどう表現するかを決めないと、結果を単純に見せられても判断できない。

 

 今回は、13人に一人のはずが30人に一人だったなどと驚きを持って報道されたが、その数値に意味があるようにならないと、調査結果はあっても誰も利用できないことになる。